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J-Song Stories

00年代の日本のロック・ポップをBGMにえがいた人間"熱いぜ"ストーリーです。

80’Sー06 ♪I・CAN・BE♪ 米米CLUB

80’S~海をのぞむ街~

木の父親は、元プロボクサーだ。しかし、全戦全敗。プロでは一度も勝てなかった。”それで、プロと言えるのか?”と、以前鬼木からこの話を聞かされた時、良雄はそう言いかけたが、やめた。確かに、鬼木の父親”鬼木吾郎”の風貌は、精悍だ。背が高く、細身だが、それは、余分な贅肉がそぎおとされ、ほとんど筋肉でおおわれている。いつも、厨房の中で表情を変えず黙々と仕事をしているが、良雄が店に来ると、ちらっと良雄を見て、口の端でにやりと微笑む。

鬼木勝彦には2つ年の離れた姉がいる。今は福岡の短大に通っている。その仕送りなど、家計はたいへんだ。だから、鬼木勝彦は、早朝、新聞配達のアルバイトをしている。自転車やバイクを使わず、体を鍛えることもかねて、雨の日もカッパに身をつつみ、ランニングをしながら新聞を配っている。

「そう言えば、ーーー」

鬼木勝彦が、すくっと体をベッドから起こし、畳に座っている良雄に目を向けた。

「なあ良雄、知ってるか? 尾崎のやつ、また喧嘩して補導されたの」

「へっ?・・・い、いつ?」

「きのう。工業高のやつと。知ってるだろ、西郷。あいつと」

「へーーー・・・」

西郷寛太は、この町の工業高校の2年生だ。身長も体重も高校生ばなれした規格サイズで、中学生の頃から、上級生に喧嘩を売り、負けたことがない。

「尾崎やべえぞ、これ以上はもう、退学かもしれねえぞ」

鬼木がそう言った。

良雄の指は、坂田三吉の”通天閣打法”、打球がグーンと空高く消えて行ったところで、止まっていた。

 

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作詞 米米CLUB 作曲 米米CLUB

発売日 1985年  アルバム「シャリ・シャリズム」

 

 

シャリ・シャリズム(完全生産限定盤)(DVD付)

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I・CAN・BE

I・CAN・BE