J-Song Stories

00年代の日本のロック・ポップをBGMにえがいた人間"熱いぜ"ストーリーです。

80’Sー14 ♪ピーターラビットとわたし♪ 大貫妙子

代は商店街を30メートルほど逆走したあと、すぐに左に折れた。

そしてその車1台がやっと通れるぐらいの路地をまた30メートルほど走り、右側にあるたばこ屋に入った。

「また何かあったらここにもぐり込め」

そうこのまえ尾崎健吾が教えてくれた店だ。

小さなつくりの昔ながらのたばこ屋。

路地に面した、たばこの商品の入ったガラスショーケース。

その奥には、地面より少し高くなった畳3枚ほどのスペースに、丸メガネをかけ、たまねぎヘアースタイルの老婆が、座布団を敷いてちょこんと正座している。

ショーケースの左横、開け放たれた狭い入り口から、

「おばちゃん、ごめん! お世話になります!」

そう言って和代は、奥の、のれんで仕切られた、ここもまた地面より高くなっている居間に、靴をぬいで駆け上がった。

しばらくして、西郷たちがたばこ屋の前を通っていく。

道が狭いので今度は縦に並んで、それぞれ遠くの方に目をやって、進んで行った。

のれんの隙間からそれを確認すると和代は、居間から降り、靴をはいて、老婆のそばにいき、もう一度お礼を言った。

「ごめんね、おばちゃん」

老婆は、「はーい、お疲れさん!」そう言うと、オロナミンCを1本和代に差し出した。

「ありがとう」

和代はそう言ってそれを受け取り、かなりぬるかったが、一気に飲みほした。

 

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作詞 大貫妙子 作曲 大貫妙子

発売日 1982年 アルバム「クリシェ」に収録

 

 

Cliche

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