西郷がゆっくり立ち上がる。
「こッの野郎、やっぱり来やがったな!」
そう言って、右拳を振り上げる。
そこへ、尾崎と西郷らがいる場所の、すぐそばの玄関入り口で成り行きを見ていた鬼木が、尾崎と西郷のところへ走る。
鬼木は、尾崎と西郷のあいだに入るようにして、右ストレートを、
西郷に・・・、
いや、その前に、良雄が、・・・。
良雄が、鬼木の前に出てきて、西郷に、右ストレートをあびせた。
・・・が、はずれた。
良雄のパンチは、西郷が顔を後ろに反らしたことにより、空を切った。
「良雄?」と、鬼木が半分おどろいている。
「なんだ、おめえは!」しかし西郷は、ますます顔を真っ赤にして、今度は、良雄を殴ろうとした。
そこで、“ピピーーーーーーーーッ”。
ホイッスルが鳴った。
鳴らしたのは、体育教師の大久保清人だった。身長183センチ。白のタンクトップに、横に青の3本ラインが入った同じく白の短パンをはき、短い髪に、真っ黒に日焼けした筋肉隆々の体。大久保清人は、体育館の玄関入り口に、仁王立ちしていた。
「よおーし、そこまでだ!」
大久保清人はそう言いながら、体育館の中に入って来た。
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発売日 1984年 アルバム「MIDNIGHT FLIGHT」に収録