男は、午前中だけの工場でのパート勤務を終えると、きまって国道57号線沿いにあるコンビニに立ち寄り、そこで、きまって、ソーセージパンと温かい缶コーヒーを買う。
「パン、温めますか」
若い女性の店員がたずねた。
「はい」
男が答える。
男の名前は、桐原健介。年齢は34歳。中肉中背。髪はやや長い。リーバイス501のブルージーンズをはき、白色のTシャツの上に、背中に“Sprite”とロゴマークの入った緑色のジャージを羽織っている。
桐原は、代金を払い、品物の入ったビニール袋を受け取ると、駐車場に停めた自分の車、古い紺色の日産マーチに乗り込む。
そして、これもきまって、車の中で、買ったパンを食べ、コーヒーを飲む。
10月の秋風が、全開した運転席の窓から助手席の窓へと通りぬけていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
作詞 岸田 繁 作曲 岸田 繁
発売日 2005年 アルバム「NIKKI」に収録