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J-Song Stories

00年代の日本のロック・ポップをBGMにえがいた人間"熱いぜ"ストーリーです。

00’Sー06 ♪One♪ RIP SLYME

7時30分。中学3年生の藤倉奈津美は、きまって、学校に向かう途中にある、国道57号線沿いのコンビニに寄り、そこできまって、125ミリリットルの紙パックの牛乳を買う。自分の朝食のため、ではなく、子猫の朝食のためだ。

コンビニの隣に、閉店して、何もかもがそのままの状態で放置された中古車店がある。100台ほどの中古車が並ぶ、そのテニスコート2面ほどの敷地内の一角に、小さな段ボール箱があり、その中に、まだ生まれてまもない、黒地に白のぶちの猫がいる。段ボール箱の内側には、奈津美の着古したグレーのトレーナーが敷かれてあった。

奈津美が来ると、子猫は、小さな前脚を両方とも段ボール箱の縁にかけ、顔を上に向け、「ミャー」と、一声鳴いた。

「おはよう、ミーニャ」

“ミーニャ”という名前は、奈津美が好きなアーティスト“MISIA”からとった。

奈津美は、学校のカバンの中から、紙皿が数枚入った袋を取り出し、そこから一枚を抜き、地面に置いた。

そして、子猫をそっと両手で抱え、段ボール箱から外に出した。

「モーニングだよ」

奈津美は、紙皿に、まず少しだけ牛乳をそそいだ。

子猫は、すぐ、紙皿に頭を突っ込むようにして、牛乳をちびちびと舐めた。

奈津美は、子猫の頭を撫でながら、また少しだけ牛乳をそそぐ。

「ミーニャ、きょうはあたし、学校に行くね」

子猫は、聞いているのかいないのか、ひたすらに牛乳をなめている。

子猫は、一週間前の朝、奈津美が学校に行く途中、この敷地内で、白の軽ワゴン車の下で鳴いていた。母猫が捨てたのか、それとも飼い主が捨てたのか、わからなかったが、とりあえず、奈津美は、隣のコンビニから空の小さな段ボール箱をもらい、そこに、子猫を入れた。

「だからだめだよ、どこにも行っちゃ。ここにいるんだよ」

子猫の右目の上には、1センチほどの細長い赤い傷があった。

 

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作詞 RIP SLYME 作曲 RIP SLYME

発売日 2001年 アルバム「TOKYO CLASSIC」に収録

 

TOKYO CLASSIC

TOKYO CLASSIC

 

  

One

One

  • RIP SLYME
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250