奈津美は、机の上の紙屑を無視して、再び、秋の空に目をやった。 そこへ、英語の教師が、 「おーい藤倉、聞いてるか? どこ見てる? ミサイルでも飛んでくるかー?」 と言った。 クラスの生徒は、そのくだらないジョークに、一斉に、必要以上に笑った。 奈津…
教室は3階にある。1限目の英語の授業。校庭を見下ろす窓際の列の、一番後ろの席に座る藤倉奈津美は、開け放たれた窓の外をぼーっと見ていた。担当の教師は、けして流調とは言えない発音で、テキストの英文を淡々と読み上げている。 奈津美は、この1限目が…
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。